【法律改正】被用者年金制度一元化法案が可決・成立しました。

2012-08-21

国会に提出されていた「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一郎を改正する法律」が、8月10日の参院本会議で可決、成立しました。法律案の概要については、こちら をご覧になって下さい。

また、法律案の要綱については、以下のとおりとなっています。

第一 改正の趣旨

被用者年金制度については、多様な生き方や働き方に公平な社会保障制度を目指す平成24年2月17日の閣議決定「社会保障・税一体改革大綱」に基づき、公的年金制度の一元化を展望しつつ、今後の制度の成熟化や少子・高齢化の一層の進展等に備え、年金財政の範囲を拡大して制度の安定性を高めるとともに、民間被用者、公務員を通じ、将来に向けて、同一の報酬であれば同一の保険料を負担し、同一の公的年金給付を受けるという公平性を確保することにより、公的年金全体に対する国民の信頼を高めるため、厚生年金保険制度に公務員及び私学教職員も加入することとし、厚生年金保険制度に統一すること。

第二 厚生年金保険法の一部改正等

一 被保険者資格について、公務員及び私学教職員(公務員共済組合の組合員及び私立学校教職員共済制度(以下「私学共済制度」という。)の加入者等をいい、以下「公務員等」と総称する。)に係る適用除外規定を削除すること。

二 制度間差異の解消関係
1 公務員等の被保険者資格について、70歳の年齢制限を設けること。
2 総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計額が支給停止調整額を超えるときに老齢厚生年金の一部又は全部を支給停止する仕組みを、国会議員又は地方公共団体の議会の議員にも適用すること。
3 60歳代前半の公務員等退職者に係る在職中の老齢厚生年金等の支給停止調整額について、46万円から28万円に引き下げること。また、国民年金法等の一部を改正する法律(平成16年法律第104号。以下「平成16年改正法」という。)において70歳以上の使用される者に対しても在職中の老齢厚生年金の一部又は全部を支給停止する仕組み(支給停止調整額は46万円)を導入した際に、昭和12年4月1日以前に生まれた者には適用しないとしていた経過措置を廃止すること。
4 公務員等に係る障害給付についても保険料納付要件を課すこと。
5 公務員等に係る遺族給付の転給制度を廃止すること。
6 二以上の種別の被保険者であった期間を有する者については、当該期間を合算し、一の期間のみを有するものとみなして20年以上ある場合には、老齢厚生年金に加給年金額を加算できることとすること。
7 二以上の種別の被保険者であった期間を有する者については、当該期間を合算し、一の期間のみを有するものとみなして20年以上ある場合には、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算額を加算できることとすること。

三 実施機関関係
1 この法律に規定する実施機関は、次に掲げる事務の区分に応じて定める者とすること。
ア 次のイからエまでに規定する被保険者以外の被保険者であり、又はあった期間に係る事務 厚生労働大臣

イ 国家公務員共済組合の組合員たる被保険者であり、又はあった期間に係る事務 国家公務員共済組合連合会及び国家公務員共済組合

ウ 地方公務員共済組合の組合員たる被保険者であり、又はあった期間に係る事務 地方公務員共済組合連合会、全国市町村職員共済組合連合会及び地方公務員共済組合

エ 私学共済制度の加入者たる被保険者であり、又はあった期間に係る事務 日本私立学校振興・共済事業団

2  厚生労働大臣は、実施機関を所管する大臣を経由して共済組合等に拠出金等に関し必要な報告を求めるほか、所管大臣に対し、その報告に関し監督上必要な命令や監査の実施を求めることができることとすること。

四 費用負担関係

1 共通財源関係
実施機関(厚生労働大臣を除く。)の積立金のうち共通財源として厚生年金保険事業に供する積立金については、平成27年度における実施機関(厚生労働大臣を除く。)の厚生年金保険給付に要する費用等(基礎年金拠出金を含む。ただし、公費負担を除く。)に、平成26年度の末日における厚生年金勘定の積立金等の額を平成27年度における政府が負担する厚生年金保険給付に要する費用等(基礎年金拠出金を含む。ただし、公費負担を除く。)で除して得た率(積立比率)を乗じて得た額とすること。

2 拠出金と交付金関係
ア 政府は、毎年度、厚生年金の保険給付に要する費用等を、実施機関(厚生労働大臣を除く。)に対し交付金として交付すること。
イ 実施機関(厚生労働大臣を除く。)は、毎年度、拠出金を納付すること。
ウ 拠出金の額は、当該年度における拠出金算定対象額(当該年度における厚生年金保険給付等の総額に基礎年金拠出金の合計額を加えた額)に、標準報酬按分率及び積立金按分率をそれぞれ乗じて得た額の合計額から、当該実施機関(厚生労働大臣を除く。)が納付する基礎年金拠出金の額を控除した額とすること。
エ 当分の間、支出費按分率を100分の50として導入する。ただし、平成39年度を目途として検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずること。

3 積立金の管理運用関係
ア 共通財源としての積立金の運用は、専ら厚生年金保険の被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うものとすること。
イ 積立金の管理及び運用の基本的な指針については、厚生労働大臣が案を作成し、各大臣と協議の上、各大臣が共同して定めること。
ウ 管理運用主体は、共同して、積立金の資産の構成の目標を定めること。
エ 積立金の管理及び運用の状況については、毎年度、厚生労働大臣が案を作成し、各大臣と協議の上、各大臣が共同して評価し、公表すること。

五 厚生年金保険法による保険給付は、公務員については、国家公務員法第に規定する年金制125条に規定する年金制度及び地方公務員法第43条に規定する共済制度の一部とすること。

六 年金保険者拠出金(旧三共済に係る制度間調整)に関する規定を削除すること。

第三 国家公務員共済組合法及び国家公務員共済組合法の長期給付に関する施行法の一部改正

一 国家公務員共済組合法関係
1 国家公務員共済組合法における長期給付は、厚生年金保険法に規定する保険給付とすること。
2 共済年金に関する規定の削除等所要の規定の整備を行うことにより、遺族共済年金の転給制度の廃止等を行うこと。
3 国家公務員共済組合は、組合員たる被保険者に係る厚生年金の保険料並びに短期給付及び福祉事業の掛金を一体的に徴収すること。
4 国家公務員共済組合法の長期給付の制度は、国家公務員法第125条に規定する年金制度とすること。
5 その他所要の規定の整備を行うこと。

二 国家公務員共済組合法の長期給付に関する施行法関係
追加費用対象期間を有する者の退職共済年金等の額(年額)について、その年金額が控除調整下限額(230万円に各年度の再評価率をそれぞれ乗じて得た金額)を超えるときは、当該年金額は、追加費用対象期間に係る当該年金額の100分の27に相当する額を控除した金額とすること。ただし、その控除額が控除前の年金額の100分の10に相当する額を超えるときは、当該100分の10に相当する額を当該控除額とし、控除後の年金額が控除調整下限額より少ないときは、控除調整下限額をもって当該年金額とすること。

第四 地方公務員等共済組合法及び地方公務員等共済組合法の長期給付等に関する施行法の一部改正

一 地方公務員等共済組合法関係
1 指定都市職員共済組合を全国市町村職員共済組合連合会の構成組合とすること。
2 保険料及び給付額の算定基礎について標準報酬制度に移行すること。
3 地方公務員等共済組合法における長期給付は、厚生年金保険法に規定する保険給付とすること。
4 共済年金に関する規定の削除等所要の規定の整備を行うことにより、遺族共済年金の転給制度や地方公共団体の長に対する共済年金額の加算特例等を廃止すること。
5 地方公務員共済組合における積立金については、地方公務員共済組合連合会が運用状況の管理を行うものとすること。
6 地方公務員共済組合は、組合員たる被保険者に係る厚生年金の保険料並びに短期給付及び福祉事業の掛金を一体的に徴収すること。
7 地方公務員等共済組合法の短期給付及び長期給付の制度は、地方公務員法第43条に規定する共済制度とすること。
8 その他所要の規定の整備を行うこと。

二 地方公務員等共済組合法の長期給付等に関する施行法関係
追加費用対象期間を有する者の退職共済年金等の額(年額)について、その年金額が控除調整下限額(230万円に各年度の再評価率をそれぞれ乗じて得た金額)を超えるときは、当該年金額は、追加費用対象期間に係る当該年金額の100分の27に相当する額を控除した金額とすること。ただし、その控除額が控除前の年金額の100分の10に相当する額を超えるときは、当該100分の10に相当する額を当該控除額とし、控除後の年金額が控除調整下限額より少ないときは、控除調整下限額をもって当該年金額とすること。

第五 私立学校教職員共済法及び日本私立学校振興・共済事業団法の一部改正
一 私立学校教職員共済法関係
1 準用する国家公務員共済組合法の長期給付関係規定の改正に伴う読替え規定の削除等所要の規定の整備を行うこと。
2 日本私立学校振興・共済事業団は、私学共済制度の加入者たる被保険者に係る厚生年金の保険料を共済掛金と一体的に徴収すること。
3 その他所要の規定の整備を行うこと。

二 日本私立学校振興・共済事業団法関係
1 日本私立学校振興・共済事業団は、その業務として厚生年金保険法による保険給付等を行うこと。
2 その他所要の規定の整備を行うこと。

第六 国民年金法の一部改正
厚生年金保険法の一部改正における実施機関の規定の整備に伴う用語の整理等の所要の規定の整備を行うこと。

第七 特別会計に関する法律の一部改正
厚生年金勘定の歳入に実施機関(厚生労働大臣を除く。)からの拠出金を加え、歳出に実施機関(厚生労働大臣を除く。)への交付金を加える等の所要の措置を講じること。

第八 恩給法等の一部を改正する法律の一部改正
公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日の属する月以降の文官に給する普通恩給等の年額について、当該年額が控除調整下限額(230万円に各年度の再評価率をそれぞれ乗じて得た額)を超えるときは、当該年額に0.9を乗じて得た額とすること。ただし、その額が控除調整下限額に満たないときは、控除調整下限額とすること。

第九 経過措置

一 厚生年金保険制度における年金たる保険給付に関する経過措置等
1 旧国家公務員共済組合員期間、旧地方公務員共済組合員期間及び旧私立学校教職員共済加入者期間は、厚生年金保険の被保険者であった期間とみなすこと。
2 施行日以前において共済組合等が支給する改正前共済法の規定による年金である給付の受給権を有していた者に支給する厚生年金保険法による老齢厚生年金の額については、当該年金である給付の額の計算の基礎となった旧国家公務員共済組員期間、旧地方公務員共済組合員期間及び旧私立学校教職員共済加入者期間は、計算の基礎としないこと。
3 保険料率の経過的特例
ア 国家公務員共済組合及び地方公務員共済組合の組合員たる被保険者等の保険料率
保険料率については、施行日の属する月から平成28年8月までの月分の1000分の172.78から、毎年度1000分の3.54ずつ引き上げ、平成29年9月から平成30年8月までの月分については1000分の179.86とし、平成30年9月に1000分の183とすること。
イ 私学共済制度の加入者たる被保険者等の保険料率
保険料率については、施行日の属する月から平成28年3月までの月分の1000分の143.54から、毎年度1000分の3.54ずつ引き上げ、平成38年4月から平成39年3月までの月分については1000分の182.48とし、平成39年4月に1000分の183とするほか、被保険者等の負担する保険料の一部について、実施機関積立金以外の積立金の一部をもって充てることができることとすること。
4 在職支給停止の強化に伴う既裁定年金への影響を緩和するための経過的な措置を講じ、賃金と改正前の在職支給停止による支給停止後の年金額との合計額の百分の十に相当する額を改正後の在職支給停止の支給停止額の上限とするとともに、特別支給の老齢厚生年金に係る在職支給停止については、賃金と改正前の在職支給停止による支給停止後の年金額の合計額(月額)が35万円を下回って停止しないこと。
5 その他所要の規定の整備を行うこと。

二 国家公務員共済組合法の一部改正に伴う経過措置
所要の規定の整備を行うこと。

三地方公務員等共済組合法の一部改正に伴う経過措置
所要の規定の整備を行うこと。

第十 関係法律の一部改正
その他関係法律について、所要の改正を行うこと。

第十一 施行期日
この法律は、平成27年10月1日から施行すること。ただし、第三の二、第四の二及び第八の事項は、この法律の公布の日から起算して1年を超えない範囲で政令で定める日から、第四の一の1は平成26年12月1日から施行すること。

第十二 検討
一 公務員等の職域加算額廃止後の新たな年金については、平成24年中に検討を行い、その結果に基づいて、別に法律で定めるところにより、職域加算額の廃止と同時に設けること。
二 職域加算額の廃止に伴う必要な経過措置については、別に法律で定めること。

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